「分からないなりに、答えようとする力」~大学1年生プレゼン大会で心を打たれた一瞬~

2025年8月1日

沈黙の中に見えた“真剣なまなざし”

大学1年生向けのキャリアデザイン講座で、あるプレゼン大会の司会を務めました。

7チームによる発表と、そのあとの質疑応答。学生同士で質問をし合う形式だったのですが…案の定、会場はしーんと静まり返り、誰も手を挙げない。発表者が前に立ったまま、会場の沈黙に晒される――あの独特の緊張感。

でも私は、その「空白の時間」をあえて埋めません。発表する側に、その空気の重さも含めて経験してほしいから。社会に出たら、リアクションのない場面や“冷たい空気”に直面することもある。そんな現実に触れる、貴重な時間だと思っているんです。

やがて、ようやく一人の学生が質問をしてくれました。そして、その質問に“答えようとした”ある学生の姿が、私の心に深く残りました。

ごまかさずに考え続けた30秒の勇気

質問を受けたその学生は、すぐに返答を始めたわけではありませんでした。天を仰ぎ、黙って30秒ほど考え込んだのです。

その姿に、私は目が離せなくなりました。

普通なら、「とりあえず何か言わなきゃ」と焦って、適当な言葉でごまかす場面です。実際、他のチームでは、質問も回答も表面的なやりとりで終わってしまうことが多かった。けれど彼は違った。分からないことに直面しながらも、まっすぐ向き合って、自分なりに言葉を探していた。

その“答えようとする姿勢”が、何よりも価値あるものでした。私は司会進行役でありながら、時間のことを忘れるほど引き込まれ、その後の講評で彼にこう伝えました。

「君が“答えようとした”こと、それ自体が素晴らしかった!」

すると彼は、少し照れながらも「今後もそうしていきます」と言って帰っていきました。その一言に、私は深く感動したんです。

誠実に向き合う、その姿勢こそが武器になる

この日の大会では、正直なところ、テーマに沿っていなかったり、原稿を棒読みしたりするチームもあり、頭を抱える場面もありました。学生たちが提示した要件を満たせていなかったり、講義を“聞き流し”のように受けている印象もあります。

最近の学生には、言葉に対する“引っかかり”が薄れているように感じるんです。YouTubeを観る感覚で授業を受けてしまっているのか、自分の中に違和感を持つ習慣が少ない。だからこそ、自分で調べる力、自分の言葉で考える力をもっと養ってほしいと思います。

でも、そんな中でも、一人の学生が見せた“ごまかさずに考える”姿勢。それはまさに、今の時代にこそ必要な力だと私は思います。

参考データ:企業が重視する「誠実さ」と「熱意」「意欲」

マイナビの調査(2024年)によると、新卒採用で企業が重視する能力として、「誠実さ」「熱意」「意欲」などが上位に挙げられています(出典: https://news.mynavi.jp/article/20240307-2900286/ )。

つまり、知識やテクニックだけでなく、“どう向き合うか”が見られているのです。

まとめ

今回のプレゼン大会で私が見たのは、「分からないけど、答えようとする」その誠実な姿勢でした。これは単なる学生の一場面ではなく、社会人としても大切にしてほしい“姿勢”そのものです。

こういう力をどう育てていくか、それが今のキャリア教育の課題でもあります。もっと具体的な授業づくりや指導の方法にご興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ともに、学生の“本気”を引き出していきましょう!