就活で「合わない」と感じたあなたへ──IT業界のスピード感に違和感を覚えた学生の声から
先日、大学の就活講座に、IT関連の企業を含む採用担当者の方々に来ていただきました。実際の採用現場や仕事のリアルを語ってもらう、いわゆる「業界研究」の時間です。
講座後のアンケートで、ある学生さんが正直な気持ちを書いてくれました。
「話の内容は理解できた。でも、言い切る話し方、スピード感のあるやり取り、高い基準が当たり前という空気に、すごく疲れた」
そして、こんな不安も添えられていました。
「動作の遅い人間は、端に追いやられるのではないか」
まず、知っておいてほしいこと
IT業界は、確かに「勢い」が大事な世界です。
変化が早くて、正解がすぐには見えない。だから、ある程度割り切って判断し、前に進む必要がある場面も多い。スピード感のある言葉や、断定的な語り口が、仕事を動かす力になっているのも事実です。
でも、それが「正しい働き方」だとは言っていません。
問題は、そのスタイルが「悪い」かどうかではなく、あなたにとって「合わなかった」という事実があった、ということです。
「速さ」だけが評価される社会じゃない
就活では、どうしても目立つ価値観があります。
- 速さ
- 要領の良さ
- 即断即決
IT業界なら、なおさらそう感じるでしょう。
その結果、「自分は慎重に考えるタイプだから、向いていないんだ」と、自分を責めてしまう。
でも、ちょっと待ってください。
世の中には、こんな力が「そのまま価値になる」仕事も、確実に存在します。
- 慎重であること
- 丁寧に確認すること
- 立ち止まって考えること
速く決めて走る人が必要な現場もあれば、ミスを出さないこと、信頼を積み重ねること、長く安定して仕事を回すことが求められる現場もあるんです。

就活の場では「目立ちやすい価値観」だけが前に出やすい。
だけど、それが社会のすべてじゃない。
「合わなかった」は、失敗じゃなくて成果です
今回のアンケートで、私が一番「よかった」と思ったのは、その学生さんが**「合わなかった」ときちんと言葉にしていた**ことです。
合わなかった、という感覚は、失敗ではありません。
就活における、れっきとした成果です。
就活は、企業に選ばれる場である前に、こういうことを知るプロセスでもあります。
- 自分はどんな環境なら力を出せるのか
- どんなスピード感、どんな価値観なら無理をしなくて済むのか
「この空気はしんどい」「この語調にはついていけない」
そう感じる自分を、否定する必要はまったくありません。
大事なのは「解像度を上げる」こと
ここで、やってはいけないことがあります。
それは、「自分は社会に合わない」と大きく結論づけることです。
そうじゃなくて、こう考えてほしいんです。
「この業界、このスタイルは、自分には合わないかもしれない」

少しだけ、解像度を上げる。
仕事にも、業界にも、働き方にも、幅があります。
勢いが武器になる人もいれば、慎重さや丁寧さが評価される人もいる。
就活の中で生まれた違和感は、自分を追い込む材料じゃなくて、自分を守り、活かすためのヒントになるんです。
「動作が遅い」と感じている人へ
もしあなたが「自分は遅い」と感じているなら、伝えたいことがあります。
向いている場所に出会ったとき、あなたは強く、静かに信頼される存在になります。
それは、速さで勝負する人には出せない価値です。
最後に
就活は、競争だけではありません。
自分の立ち位置を見つける時間でもあります。
「合わなかった」と感じたこと。
それは、あなたが自分の感覚を大事にしている証拠です。
その感覚を、どうか手放さないでください。
そして、焦らずに、自分に合う場所を探してください。
その場所は、必ずあります。
