就活で「合わない」と感じたあなたへ──IT業界のスピード感に違和感を覚えた学生の声から

2026年1月16日

先日、大学の就活講座に、IT関連の企業を含む採用担当者の方々に来ていただきました。実際の採用現場や仕事のリアルを語ってもらう、いわゆる「業界研究」の時間です。

講座後のアンケートで、ある学生さんが正直な気持ちを書いてくれました。

「話の内容は理解できた。でも、言い切る話し方、スピード感のあるやり取り、高い基準が当たり前という空気に、すごく疲れた」

そして、こんな不安も添えられていました。

「動作の遅い人間は、端に追いやられるのではないか」


まず、知っておいてほしいこと

IT業界は、確かに「勢い」が大事な世界です。

変化が早くて、正解がすぐには見えない。だから、ある程度割り切って判断し、前に進む必要がある場面も多い。スピード感のある言葉や、断定的な語り口が、仕事を動かす力になっているのも事実です。

でも、それが「正しい働き方」だとは言っていません。

問題は、そのスタイルが「悪い」かどうかではなく、あなたにとって「合わなかった」という事実があった、ということです。


「速さ」だけが評価される社会じゃない

就活では、どうしても目立つ価値観があります。

  • 速さ
  • 要領の良さ
  • 即断即決

IT業界なら、なおさらそう感じるでしょう。

その結果、「自分は慎重に考えるタイプだから、向いていないんだ」と、自分を責めてしまう。

でも、ちょっと待ってください。

世の中には、こんな力が「そのまま価値になる」仕事も、確実に存在します。

  • 慎重であること
  • 丁寧に確認すること
  • 立ち止まって考えること

速く決めて走る人が必要な現場もあれば、ミスを出さないこと、信頼を積み重ねること、長く安定して仕事を回すことが求められる現場もあるんです。

就活の場では「目立ちやすい価値観」だけが前に出やすい。

だけど、それが社会のすべてじゃない。


「合わなかった」は、失敗じゃなくて成果です

今回のアンケートで、私が一番「よかった」と思ったのは、その学生さんが**「合わなかった」ときちんと言葉にしていた**ことです。

合わなかった、という感覚は、失敗ではありません。

就活における、れっきとした成果です。

就活は、企業に選ばれる場である前に、こういうことを知るプロセスでもあります。

  • 自分はどんな環境なら力を出せるのか
  • どんなスピード感、どんな価値観なら無理をしなくて済むのか

「この空気はしんどい」「この語調にはついていけない」

そう感じる自分を、否定する必要はまったくありません。


大事なのは「解像度を上げる」こと

ここで、やってはいけないことがあります。

それは、「自分は社会に合わない」と大きく結論づけることです。

そうじゃなくて、こう考えてほしいんです。

「この業界、このスタイルは、自分には合わないかもしれない」

少しだけ、解像度を上げる。

仕事にも、業界にも、働き方にも、幅があります。

勢いが武器になる人もいれば、慎重さや丁寧さが評価される人もいる。

就活の中で生まれた違和感は、自分を追い込む材料じゃなくて、自分を守り、活かすためのヒントになるんです。


「動作が遅い」と感じている人へ

もしあなたが「自分は遅い」と感じているなら、伝えたいことがあります。

向いている場所に出会ったとき、あなたは強く、静かに信頼される存在になります。

それは、速さで勝負する人には出せない価値です。


最後に

就活は、競争だけではありません。

自分の立ち位置を見つける時間でもあります。

「合わなかった」と感じたこと。

それは、あなたが自分の感覚を大事にしている証拠です。

その感覚を、どうか手放さないでください。

そして、焦らずに、自分に合う場所を探してください。

その場所は、必ずあります。