福利厚生を重視するなら、まず“仕事への意識”を持て。

最近、就職活動が長引いている学生と話す機会があった。
彼女は明るく、礼儀正しく、面接でも一見そつがない。けれど——なかなか内定が決まらない。なぜか。

話を聞いていくと、理由が見えてきた。
「こういう仕事をしたい」という“軸”がないのだ。
彼女の関心はもっぱら福利厚生や休暇制度、リモートワークの有無といった“条件面”ばかり。
もちろん、それを大事にするのは悪いことではない。だが、企業は“条件を求めるだけの人”より、“仕事に熱を持てる人”を採りたいと思う。


「仕事へのこだわり」が、条件を引き寄せる。

たとえば、彼女が第一志望にしていた企業は、独自の設計技術で燃費計算システムを提供する、いわゆる“知る人ぞ知る”優良企業。
福利厚生もしっかりしていて、業界でも人気が高い。

そんな会社を受けるときこそ、意識を切り替える必要がある。
これまでは「選ぶ側」だった君が、ここからは「選ばれる側」になるのだ。
企業は「この人と一緒に仕事をしたい」と思えるかどうかを見ている。
そこに“仕事への熱意”が感じられなければ、どんなに条件を並べても届かない。


「お客様」から「仲間」への意識転換。

いまの学生たちは、小さい頃からずっと“お客様”として扱われてきた世代だ。
何かを買えば「ありがとうございます」、サービスを受ければ「お客様第一」。
けれど、社会に出ればその立場は一変する。
明日からは、君が“誰かを支える側”になるのだ。

だからこそ、仕事に対する意識を持たなければならない。
「何をやりたいか」ではなく、「どんな価値を提供したいか」。
この一点を考え抜けるかどうかで、就活の結果はまるで違う。


福利厚生は“結果”であって“目的”ではない。

福利厚生が充実している企業は、例外なく“仕事に真剣な社員”によって支えられている。
つまり、仕事へのこだわりを持つ人たちが集まっているからこそ、良い待遇が成り立つのだ。
順番を間違えないでほしい。
「条件が良いから頑張る」ではなく、「頑張るから条件が良くなる」。
この意識の転換が、社会人としての第一歩だ。


仕事を選ぶとは、待遇を選ぶことではない。
自分が“どんな生き方をしたいか”を選ぶことだ。
その覚悟を持てる学生こそが、企業にとって本当に欲しい人材なのだ。