大学1年向けの「キャリアデザイン」って何を教えてるの?

摂南大学で、入学したての1年生向けの授業に2011年から登壇しています。
今年で12年、長いお付き合いになりました。

「キャリアデザインの授業ってどんなことするの?」 とよく聞かれます。
大学で最初の授業が私の授業だったりするんですね。

最初の授業でまず学生に聞くんです。
「この大学は第1志望でしたか?」と。

どのくらい第一志望がいると思いますか?
どの大学で同じ質問をしても大体同じような結果になります。

多くて10%程度。
第一志望だった人はほとんどいません。

この国の大学選びは、何を学ぶかよりも偏差値で決めることが多いので
それが「不本意入学」の学生を多く作ってしまうようです。

そんなこともあって、新しい大学生活が始まるというのに
ちょっと元気がなく下を向いている感じなんですよね。

私の仕事は彼らに顔をあげてもらうこと。
まずはそこからだと思っています。

確かに受験ということでは失敗だったのかもしれない。
でも、この大学もすごくいいとこあるよ。

その例をいくつか教えてあげるんですね。
彼らにも「大学の良いとこ探しをしよう」と、そんな課題を与えます。

そうすると今まで意識しなかった
大学のいいところを少しずつ見つけてくるんですね。

ところで、理系なら年間100万以上、
卒業までに計500万円ほどの高額な授業料を払って大卒の資格を得ることになります。

果たして大学進学はこの金額に見合うコスパがあるのでしょうか。
家と学校の往復だけで、最短で単位だけ取って卒業するみたいな、

効率の良い卒業の仕方も否定はしませんが、
実はそれって本当はコスパが悪いんじゃないかな?

どうせなら、大学生活の4年間という時間の捉え方を
「楽しい旅のような4年間」にしてほしいんです。

旅行というのは目的地まで行く道のりの中で そこの景色を楽しんだり、
地場の美味しいものを食べたり、 時には現地の人と触れ合ったりするような
「遠回り」こそが旅の価値を上げると思うんですよね。

最短距離でいって最短時間で無駄なく帰ってくる。
これは旅じゃなくって、「出張」です。

出張で回り道をしてたら上司に怒られますから。(笑)

私自身にその後悔があるんです。
学費と生活費を稼ぐために大学に行かずアルバイトばかりしてました。

もうちょっと大学生らしいことを やっとけばよかったという後悔がすごくあるんです。
悔やんでも取り返せません。

最後の授業で学生から多くの感謝の言葉をもらいました。
「思い切って学園祭の実行委員に入ったことで、大学での人間関係が広がりました。
この授業がなければ退屈な大学生活になっていたと思います。」

学究的な難しいことを教えているわけではありませんが、
高校までとは全く違う環境で、大学でのチャレンジや成長のきっかけになる、
大変意義のある授業であると自負しています。