脳科学に裏付けされた「やる気」の上げ方がV3式のセミナー手法です。

「やる気を出せ」の前に、まず身体を動かそう

前回、私は「ぐにゃぐにゃでも、人は変われる」と書きました。

椅子にきちんと座れない。
身体をくねらせる。
こちらが話しているのに、机に突っ伏して寝る。

そんな生徒を前にすると、私たち大人はつい言いたくなります。

「もっとやる気を出しなさい」
「本気になりなさい」

でも、「やる気を出せ」と言われて出せるのなら、誰も苦労しません。

私たちはモチベーションを、精神力や気力の問題だと勘違いしているのではないでしょうか。

脳は、身体の動きに刺激される

脳研究者の池谷裕二先生は、著書『脳はなにかと言い訳する』の中で、やる気と身体の関係について触れています。

やる気が出るのを待ってから動くのではない。
まず動く。作業を始める。身体を使う。
そうすることで脳が刺激され、次第にやる気がついてくる。

(同書の趣旨を要約)

つまり、やる気は行動の前提ではありません。
行動した結果として、あとから生まれてくるものです。

だから私は、生徒たちにいつもこう言います。

「やる気が出てから動くんと違うで」
「先に身体を動かすんや」

立つ。顔を上げる。声を出す。背筋を伸ばす。

小さくていい。何かを始めれば、止まっていた頭も動き始めます。

姿勢を正すことは脳科学で証明されています

「姿勢を正しなさい」

そう言うと、古くさい根性論に聞こえるかもしれません。
でも、違います。ここには具体的な意味があります。

背筋を伸ばせば、顔が上がる。
顔が上がれば、相手の目が見える。
胸が開けば、声が出しやすくなる。
声が出れば、挨拶が変わる。

挨拶が変われば、相手から返ってくる反応も変わる。
「今の挨拶、よかったやん」と言ってもらえる。

自分にもできた、という感覚が生まれる。
すると、次もやってみようと思える。

面接練習も同じです。

ノックをする。
「失礼します」と声を出す。
相手の目を見る。
背筋を伸ばして座る。

一つひとつは、単なる形に見えるかもしれません。
でも形を整えることは、相手によく見せるためだけではありません。
自分自身に「自分はできる」と教える練習でもあるのです。

だから私は、最初から深い志望動機を考えさせません。

まず立たせる。声を出させる。何度も繰り返す。
表情が変わり、教室の空気が変わる。
そこで初めて、脳が目覚めてきます。

心を変えてから姿勢を変えるのではありません。
姿勢を変えることで、心が動き始めるのです。

先生、一緒に生徒の身体を起こしましょう

前回、私は「教師が諦めた瞬間、生徒は本当に動かなくなる」と書きました。
今回は、そこにもう一つ加えたい。

「やる気を出せ」と何度言っても動かないのなら、伝え方を変える。
心に届かないのなら、先に身体に働きかける。

立たせる。動かす。笑わせる。声を出させる。
そして、できたことを認める。

生徒のやる気を待つのではありません。
やる気が生まれる環境を、大人がつくるのです。

ぐにゃぐにゃだった子が姿勢を正したとき、見える景色は変わります。
周りからの見え方も変わります。
そして何より、本人が自分を見る目が変わります。

「自分も、ちょっとやれるかもしれない」
その小さな感覚が、やる気の芽です。

まず動く。
形をつくる。
そのあとから、心がついてくる。

私は先生方と一緒に、生徒の身体を起こしたい。
心から、そう思っています。