「事務職はAIでなくなるのか?」就活生が誤解していること


私は、就活生に“耳ざわりのいい慰め”は言わない

「AIが進んだら、事務職ってなくなるんですか?」

この質問、就活の相談で本当によく聞かれます。

だから最初に、あえて少し厳しめに言います。

「事務職はなくならない」なんて、安易には言いません。

なくなるのは、みなさんがイメージしている
「手で回す事務の価値」です。

入力する。
転記する。
集計する。
照合する。
資料を整える。

こういう仕事の比率は、これから確実に薄くなっていきます。

そして本題。

残るのは「仕組みを作って、回して、改善して、現場を前に進める人」です。

これは「事務かどうか」の問題ではありません。

作業者で終わるか。
運用設計者に上がれるか。

AI時代のキャリアは、この違いで決まります。


まず現実。事務の“手作業”は、もう戻らない

「AIで仕事が消える」という話を未来のことだと思っている人も多いですが、
置き換えはすでに始まっています。

たとえば確定申告。

国税庁でも、マイナポータル連携によって控除証明書などのデータを一括取得し、申告書へ自動入力する仕組みが整っています。

しかも令和6年分では約310万人が利用しています。

つまり

・資料を集める
・数字を転記する
・入力ミスを確認する

こういう仕事は、構造的に減っていく方向にしか進みません。

参考:国税庁 マイナポータル連携

勤怠管理も同じです。

クラウド勤怠は、打刻データとルールをもとに残業計算まで自動で処理します。

ここで価値になるのは

「Excelが得意な人」ではなく、
「ルールを設計して運用できる人」です。

参考:勤怠管理システムの仕組み

さらに言えば、就活の現場でもAIは当たり前になっています。

企業がAI使用を禁止していても、調査では

64.6%がAIを一部またはフル活用
73.6%が「バレるかもしれない」と不安

という結果が出ています。

参考:就活AI利用調査

もう「人力だけで戦う世界」ではありません。

事務が不要になるのではない。
手で回す事務が“価値ゼロ側”に寄っていく。

これが現実です。


「仕事を奪われる不安」より怖いもの

AIの話になると、多くの人がこう言います。

「仕事が奪われるのでは?」

でも私は、もっと怖いものを見ています。

成長が止まることです。

ニッセイ基礎研究所のレポートでも、若年層の不安として

・自分の貢献が見えにくくなる
・AI依存で視野が狭くなる

という懸念が指摘されています。

参考:AIと若年層の不安

就活でも、入社後でも、評価されるのは作業量ではありません。

成長して、出せる価値が上がる人です。

AIで楽をした人ほど、思考が薄くなる。
その結果、静かに市場価値が下がっていく。

これは本当に起きています。


総務・庶務は消えるのか?

結論を言います。

消えるのは「型」。
残るのは「機能」です。

現場では、だいたい次の形に再編されます。

  • 自動化
  • 集中処理(シェアードサービス)
  • 外注(BPO)
  • 上位職務化(運用設計・改善)

つまり

「庶務が不要」なのではなく、
庶務の中身が“上にズレる”

ということです。


だから総務は「戦略総務」へ上がれ

総務はコストセンターになりやすい部署です。

売上を直接作る部署ではないからです。

そのためAIで定型業務が減ると、
真っ先に「削減対象」になりやすい

参考:コストセンターとプロフィットセンター

だからこそ必要になるのが

戦略総務

です。

戦略総務とは

  • 生産性向上
  • 人材確保と定着
  • 組織風土の改善

こうしたテーマに踏み込む総務です。

参考:戦略総務の考え方

私は就活生にこう言っています。

「総務になりたいです」だけでは弱い。

何を設計するのか。
何を改善するのか。
会社の生産性をどう上げるのか。

ここまで言える総務志望は強い。


AI時代に“事務→戦略総務”へ上がる就活アクション

① AIを使うなら、丸写しで終わるな

AIを使う学生は増えています。

でも大事なのは自分の言葉で語れること

面接で説明できないAI文章は、意味がありません。

② 業務フローを図にできる人になれ

入力 → 承認 → 例外 → 監査

この流れを言語化できる人は強いです。

世界はすでに自動化前提で動いています。

③ 「戦略総務っぽい会社」を見抜け

制度があるかではなく、
運用して改善しているかを見てください。

面接では、ぜひ逆質問をしてみてください。
たとえば
「総務が主導して行った業務改善の取り組みはありますか?」
「社員の定着率を高めるために最近行った施策はありますか?」
「働き方や組織風土の改善に総務はどのように関わっていますか?」

こうした質問をすると、その会社が
制度を“持っている会社”なのか
制度を“運用している会社”なのか

が見えてきます。


理解が進む動画


最後に

君のキャリアは、AIに奪われるわけではありません。

AIを使えない自分が、自分のキャリアを狭める。

怖いなら使えばいい。

逃げるか。
使いこなすか。

手で回す事務にしがみつくのか。
仕組みを動かす側に回るのか。

就活は、その最初の分岐点です。


AI時代のキャリア設計、
「何を準備すればいいのか」を一緒に整理します。