“内定率”よりも適職への導きを。キャリア支援に求められる視点の転換
学歴より“適職選び”の支援がカギになる時代へ
近年、私が行っているYouTube発信の中で、特に再生回数が多いのがこれ。
「就職浪人はやめて」というテーマの動画です。実はこの動画に、ある大学生からコメントをいただきました。彼は、いわゆる偏差値の高い大学に通っており、コンサル一本に絞って50社以上も受けたそうですが、すべて不採用。
この話をきっかけに、私たちキャリア支援者が学生に伝えるべき大切な視点について、改めて考えさせられました。
コンサル一本で50社落ちた学生のケース
後日その学生とZoomで面談する機会がありました。非常に知的でまじめな印象でしたが、会話の中でテンポがずれたり、眼が泳いだりと、コミュニケーションに不安が見えました。
彼には、じっくり考えながら成果を出すタイプの職種――たとえば調査分析や研究開発などの方が、明らかに向いていると感じました。つまり「コンサル志望」が間違っていたのではなく、「自分の特性に合っていなかった」ことが問題だったのです。
学生には“志望職種の幅”を持たせる指導を
このようなケースは、決して珍しくありません。学歴に関係なく、「職種選び」が間違っていると、今の時代でも内定は出ない。
だからこそキャリアセンターの皆さんには、学生が職種を選ぶ際に、希望するものを1つに絞らず、少なくともその周辺の関連職種を2〜3候補を拡げて挙げさせるようにしていただきたいです。

たとえば「コンサル志望」なら、業務改善、マーケティングリサーチ、戦略企画あるいは求人の多いSEまで拡げるように促す。そして、それらを実際に体験できるよう、幅広い業種のインターンシップへの参加を勧めていただければと思います。
インターンは“適職探し”の手段として使う
就活生はつい「内定のため」にインターンに参加しがちですが、私が伝えたいのは、「自分に合った職種を見極めるために活用する」という視点です。

実際、インターンで業務を経験することで、学生は「この仕事、思っていたより合うかも」「逆に向いていないかも」といった自己理解を深められます。これは、表面的な企業研究やOB訪問だけでは得られない“実感値”です。
データが示すインターンの重要性
リクルートが運営する『就職みらい研究所』の調査「インターンシップは内定取得に有利」は本当か? でも、インターン参加者の内定率が高いことが報告されています。ただしこれは「アピール材料になるから」ではなく、「自分に合った職種・業界を見極め、説得力ある就活軸を持てるから」こそ、結果的に成果が出るのです。
まとめ
キャリア支援の現場では、学生の“夢”や“憧れ”を大切にしながらも、現実的な視点で選択肢を広げ、適職探しのための体験機会を提供することが欠かせません。
「志望動機を固める」よりも先に、「自分に合う働き方を知る」ことの重要性を伝えましょう。その第一歩が、多様なインターンへの挑戦なのです。
もっと具体的な指導ノウハウや学生との関わり方に関心のある方は、ぜひお問い合わせください!