生殺与奪の権を他人に握らせるな!~エージェント活用の落とし穴と賢い使い方~

2025年4月10日

データでも明らかに。エージェント利用は増加傾向

先日、某有名大学のキャリアセンターでお話をしてきた。そこで耳を疑うような話があった。

「去年卒業した学生のうち、4割が人材紹介・エージェント経由で就職を決めた」と。

いやいや、まじか。そんな時代になったのか?と驚いた。この話は単なる一大学の例ではない。2018年卒対象の一般財団法人雇用開発センターの調査によれば「民間の就職エージェントやアドバイザー」を利用した学生は全体の約4%に留まっていた。ところが株式会社マーキュリーの実施した2024年度新卒新入社員を対象にしたアンケート調査によれば、就職活動の主要な情報源として「就活エージェント」が2位(41.9%)にあがっている。(出典:https://www.works-i.com/research/works-report/2023/job-hunting.html)

もちろん、これは決して悪いことではない。実際、私自身も4年生の夏を過ぎてもまだ進路が決まらない学生には、「今こそエージェントを使おう」とアドバイスしている。企業側も採用終盤で募集枠が限られてくる時期だから、情報が得づらくなる。そのタイミングでは、確かにありがたいサービスだ。

でもね、就活のスタート段階から、インターンにも行かず、企業研究もせず、「とりあえずエージェントに任せます」ってのは違うんじゃないか?と声を大にして言いたい。

エージェントビジネスの仕組みと注意点

就活エージェントのビジネスモデルについて、少しご紹介しておきたい。
エージェントはまず企業を開拓し、その企業の求める人物像に合った学生を紹介する。マッチングが成立し、内定・入社まで至れば、企業側がエージェントに報酬を支払う仕組みだ。文系なら約100万円、理系なら110万円前後が相場と言われている(某就活支援サイトより)。学生側の費用は一切かからない。

当然ながら、このマッチングを成功させることがエージェントのゴールとなる。だからこそ、一部の悪質な業者の中には「どうにかして決めたい」という焦りから、学生の希望や適性を無視して無理に企業を勧めてくるケースもある。
私が信頼してお付き合いしている紹介会社は、学生第一で誠実に向き合っているが、世の中にはブラック企業と平然と手を組んでいるようなエージェントも、残念ながら存在している。

さらに注意したいのは、どれだけしっかりした会社でも、経験や判断力に乏しい若手の担当者に当たることもあること。結果として、学生に合っていない職種や企業を紹介される可能性もある。
だからこそ、エージェントの言うことを鵜呑みにせず、「これは自分に合っているのか?」と立ち止まって考えることが大切。自分の目と感覚で、しっかりと見抜く力を養っていこう。

「自分の目で選ぶ」ことの大切さ

就活ってのは、単に内定を取るためのイベントじゃない。自分の価値観、強み、向き不向きを発見する旅だ。企業の社風、規模、仕事の中身、人間関係——いろんな角度から「自分に合うもの・合わないもの」を知るチャンス。

それを最初からエージェントに頼ると、トレーニングにならない。マナーも学べない。何より「自分で選んだ感」がないから、働き始めてからも納得感に欠けることが多い。

しかも、人気企業・有名企業って、そもそも人材紹介に求人出してないケースが多い。つまり、エージェント経由では出会えない企業が山ほどある。

時期と状況によってはエージェント活用も選択肢

エージェントを使うこと自体が悪いと言いたいんじゃない。「使いどころ」が大事。最初から丸投げではなく、自分で企業を見る目を養い、自分で動く経験を積んでからこそ、エージェントが“味方”になる。

「どうしても時間が足りない」「自分では企業を見つけられない」――そんなときは、エージェントの力を借りるのも一つの選択肢だと思う。
特に就活後半戦、大学4年生の夏休み以降になると、どの企業がまだ採用活動を続けているのか、学生からは見えづらくなってくる。そんな中でも、エージェントは企業側と日々やり取りしているので、リアルな求人情報を持っているのが強みだ。だからこそ、時期によってはエージェントの情報網を活用するメリットは大きい。

ただし、ここでも気をつけたいのは「エージェントもビジネスで動いている」という点。先にも触れたように、紹介先の都合で、学生が望まない企業を強引に勧めてくるケースもゼロではない。
だから私は、必要に応じて学生とエージェントの間に入り、紹介内容の妥当性や相性を一緒に見極める役割も担っている。安心して進められるよう、伴走していくのが私のスタンスだ。

まとめ

就活って、やっぱり「自分を知る旅」だと思うんです。
企業を知ることはもちろん大事。でもそれ以上に、自分がどんな価値観を持っていて、何を大切にしていて、どんな人生を歩みたいのか――そういう深掘りができるチャンスでもある。

恋愛や結婚で例えると、就活の最初からエージェントを使うって、恋愛経験なしでいきなり結婚相談所に飛び込むようなもの。
もちろん、相談所を使うのが悪いわけじゃない。でも、楽しいことも苦いことも含めて、自分で出会って、自分で向き合ってきた恋愛経験から学べることって、めちゃくちゃ多いと思うんですよ。

その過程で相手を見る目が養われたり、逆に自分ってどんな人間なんだろうって気づけたり。
そういう積み重ねがあるからこそ、「この人だ!」って思える出会いにたどり着ける。

就活も同じで、いきなり最短ルートを狙うより、まずは自分で動いてみる。失敗してもいい、迷ってもいい。そういう経験が、自分の軸や判断基準を作っていく。
結果的に遠回りに見えて、実はそれが一番の近道だったりするんです。

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